オフィスの効果的な暑さ対策を個人・職場全体に分けて解説
オフィスはパソコンの熱や人の体温の他に、窓から入ってくる直射日光によって室内の温度が高くなりやすい環境です。
そのため、適切な暑さ対策を行わないと、従業員の体調不良や生産性の低下だけでなく、パソコンなどの機器に不具合が生じる可能性も高まります。
この記事では、オフィスにおける適切な温度や、個人および職場全体で実践できる効果的な暑さ対策について解説していきます。
オフィスの適切な温度とは?
オフィスの適正温度と適正湿度に関しては、「労働安全衛生法」に基づく「事務所衛生基準規則」によって定められており、適正温度は18度以上・28度以下、適正湿度は40%以上・70%以下となっています。
オフィス内の温度はその日の気温や気候によって変動し、時間帯によっても異なります。
夏場は朝と夕方の気温はやや低くなり、昼頃には高くなります。出勤時は移動により暑さを感じていることが多いので、始業時間などは空調の温度を低めに設定しておくことで、従業員が快適に業務をスタートさせることができるでしょう。
尚、空気調和・衛生工学会大会が発表した調査では、室温が25度から26度に上昇した際には作業効率が2.1%低下したと報告されており、日本建築学会環境系論文集に掲載された論文では、オフィスの温度が25度から27度に上昇すると、作業効率が4.1%低下することが明らかにされています。
参照:空気調和・衛生工学会大会_コールセンターの室内環境が知的生産性に与える影響
参照:オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響
このことから、オフィスでの業務効率を考慮する場合の適切な温度は25度以下を目安に、その日の天候や時間帯によって調整するのがおすすめです。
オフィスの暑さ対策を怠るリスク
前項では、実際の調査によって、オフィス内の温度が作業効率に影響することをご紹介しました。
では、オフィスの暑さ対策を怠った場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
まず、一つ目のリスクとしては、従業員が仕事に集中できなくなるということが挙げられます。
室温が上がると、頭が働かなくなりぼーっとしてしまったり、イライラしやすくなって仕事に集中できなくなったりしてしまいます。それにより業務効率が下がることになります。
二つ目は、従業員が熱中症になってしまうリスクです。
熱中症は気温が高い日の屋外で発症すると思われがちですが、実際は熱中症の約4割は屋内で発生しています。
オフィスでは、業務に追われ、集中しすぎることによって、水分を摂るのを忘れてしまうことも多いです。
オフィスでの暑さ対策を怠ると、重大なリスクである熱中症を発症する危険を伴うだけでなく、不快感によるストレスで業務効率が低下する可能性があります。
オフィスの効果的な暑さ対策
オフィスでは窓からの直射日光や機器の廃熱がこもるなどの原因の他に、人口密度が高いことなどで温度が高くなりやすいです。
また、人によって快適に感じる温度は異なるので、全体での対策の他に個人での対策も重要です。
ここでは、個人の対策と全体の対策について詳しく解説します。
個人の対策
個人でできる暑さ対策として重要なのは、こまめな水分補給です。
前述した通り、オフィスでの業務中は仕事に追われ、集中しすぎることによって水分を摂るのを忘れがちになります。
室内にいて汗をかいていないとしても、大人では1日に約900mlの水分が皮膚や呼気から失われています。水分を失うと、熱中症にかかりやすくなり、頭痛や立ちくらみ、微熱、食欲の低下などの不調が身体に現れます。
通気性や吸湿性に優れた服装の選択も個人にできる対策です。熱を吸収しやすい素材の服を選んでしまうとより暑さを感じることになります。コットン素材は吸水性が高く蒸れにくく、レーヨンやリネンは通気性と速乾性に優れています。また、冷感インナーなどもおすすめです。
冷却グッズの利用も暑さ対策として有効です。卓上扇風機で空気の流れを循環させたり、冷蔵庫がオフィス内にある場合は、暑さを感じたときにネッククーラーを使用するのもおすすめです。
全体の対策
オフィスの暑さ対策として全体でできることとして、LED照明への変更があります。
白熱灯や蛍光灯は熱を発しやすいため、従業員が暑さを感じやすくなります。LED照明は一般電球と比べると消費電力を抑えることができるので、経費削減にも繋がります。
オフィスが直射日光が入りやすいガラス貼りの場合は、直射日光により室温が上がりやすくなります。そのため、カーテンやブラインドを使用しましょう。
また、全体としての暑さ対策として遮熱シートを施工するのもおすすめです。
直射日光が屋根や壁に当たることで温度が上昇し、その熱が室内に伝わります。遮熱シートは、外部からの熱を反射し、室内に伝わる熱の侵入を防ぐ効果があります。屋根や壁などに施工することで、直射日光による温度上昇を抑えることができるので、オフィス内の温度を効果的に下げることができるでしょう。
遮熱シートの施工により室内の温度管理が容易になり、冷房効率が上昇するので、エネルギーコストの削減にも繋がります。
オフィスの暑さ対策は重要
オフィスは窓からの直射日光の他に機器が発する熱、人口密度が高いことなどが原因で室温が上がりやすい環境です。
オフィスでの暑さ対策を怠ると、従業員が熱中症などの健康被害を起こすリスクだけでなく、業務効率の低下や機器が不具合を起こす可能性も高まります。
オフィスでの適正温度は22度~24度と言われているので、その温度を目安にし、あわせて個人や全体での暑さ対策を講じることも重要です。
個人でできる暑さ対策としては、こまめな水分補給や適切な服装の選択、冷却グッズの使用が挙げられます。
全体としては、LED電球への変更、カーテンやブラインドの設置、遮熱シートの施工などがあります。
個人と全体の両方が適切な暑さ対策を講じることで、快適なオフィス環境にすることができるでしょう。
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