【倉庫の暑さ対策】個人・企業別が取るべき対策を解説
地球温暖化の影響により、日本の平均気温は年々上昇傾向にあります。暑さが厳しくなる夏には熱中症のリスクが高まりますが、屋外での活動だけでなく、屋内での注意・対策も重要です。熱中症で救急搬送される方の約4割は室内で発生しています。
特に倉庫のような場所は、内部が高温多湿の状態になっていることが多く、冷房設備がないような物流倉庫では室内の温度が40度を超えてしまうこともあるため、適切な対策が求められます。
この記事では、倉庫内が暑くなる理由をはじめ、その対策を個人・企業別に分けて詳しく解説していきます。
倉庫内が暑くなりやすい理由
倉庫内が暑くなりやすい理由を3つのポイントで解説します。
ひとつめは、倉庫の屋根の素材です。多くの倉庫の屋根は、主流になっている「折半屋根」が使われています。
折半屋根は、金属をジグザグに折り曲げた屋根材で、屋根の強度が増す形状です。
しかし、この金属製の折半屋根は夏の直射日光によって、温度が最大70~80度にまで達すると言われています。そのため、屋根が持つ熱が倉庫内に伝わり、暑くなります。
ふたつめに、倉庫は冷房設備が十分に完備されていなかったり、老朽化が進んでいたりするケースが多くあります。倉庫は基本的に天井が高く、間仕切りもない広いスペースであることから、通常より強い冷房設備が必要となりますが、適切な設備がないことで、高温多湿の空間を作り出してしまっていることがあります。
最後に、倉庫内で使用される機械や照明が原因となっていることもあります。稼働している機械が熱を放出し、室内に伝わって温度が高くなってしまうのです。
倉庫の暑さ対策に取り組むメリット
倉庫内は屋根の素材や、建物の構造、冷房設備や使用される機械の影響などで、暑くなりやすい環境と言えます。
倉庫の暑さ対策に取り組むことは様々なメリットがあります。まずは、作業員の健康被害のリスクを減らし、集中力を高めることができる点です。
高温多湿の環境で作業を続けるのは、熱中症のリスクが高まるだけでなく、集中力や作業効率の低下、ケアレスミスの発生に繋がる可能性がありますが、適切な暑さ対策がされた快適な環境であれば、それらを防ぐことができます。
また、適切な暑さ対策を講じることで、倉庫で取り扱う製品の品質を保つこともできます。取り扱う製品によっては、高温多湿の環境で、変形や融解する可能性もあるので、作業員の効率化だけではなく、製品を守る意味でも暑さ対策を講じるメリットがあります。
倉庫の暑さ対策
倉庫の暑さ対策は、個人と企業がそれぞれ取り組むことで、より効率が上がります。
ここでは「個人が取るべき対策」と「企業が取るべき対策」に分けて解説します。
個人が取るべき対策
個人が取るべき対策としては、まず、こまめな水分補給をすることです。
一般的に1日あたり1.2リットル以上の水分を摂ることが望ましいと言われていますが、倉庫内での作業では大量の汗をかくため、より多くの水分を補給しましょう。
その際は、カフェインを含まない水や麦茶、スポーツドリンクなどが望ましいです。
また、適切な服装を選ぶことも重要です。通気性の良い素材を選んだり、空調服®のような小型のファンを内蔵した作業着などを選びましょう。
冷凍庫で冷やして、首にかけて使用するネックリングも個人で出来る暑さ対策として有効です。熱中症対策として、静脈を直接冷やすのは有効で、首にも静脈が通っているため、ネックリングを使うことで、静脈から体内を冷やすことができます。
企業が取るべき対策
企業が取るべき暑さ対策としては、冷房設備を整えることがあります。
倉庫内は天井が高く、間仕切りがない広い空間であることから、通常より強い冷房設備が必要となります。そのためには、シーリングファンを設置して空気の循環を促したり、作業員がいる場所に設置できる工場扇などの設備を整えるのが有効です。
また、屋根に遮熱シートを施工するのも効果的です。前述の通り、工場の屋根は金属製であることが多く、直射日光で熱を持ち、室内にその熱が伝わります。
室内の暑さは、太陽からの輻射熱が大きな原因となりますが、遮熱シートは輻射熱に対して大きな効果を発揮し、屋根が暑くなって室内に伝わるのを防いでくれます。
遮熱シートを取り付けて、倉庫内の温度が5度程度下がったという結果もあります。
倉庫の暑さ対策に取り組むなら
倉庫は一般的に、金属をジグザグに折り曲げた折半屋根を使用していることが多く、輻射熱が室内に伝わりやすい状況であり、天井が高く、間仕切りがない広い空間は熱がこもりやすくなります。
倉庫の暑さ対策を行わないと、作業員の健康被害や作業効率が低下するだけでなく、取り扱っている製品の劣化を招くことがあります。
そのため、倉庫の暑さ対策は、作業員の健康と作業効率、製品の品質を守るために欠かせないものです。
個人が自分でできるこまめな水分補給や、適切な服装選び、冷却グッズを使うなどの対策を講じるとともに、企業が適切な設備投資や作業環境の改善をおこなうことで、全体の効果を最大化することができるでしょう。
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